マイクロシステム融合研究開発センター シニアリサーチフェローである江刺正喜名誉教授が、日本学士院賞を受賞されることになりました。
この賞は日本学士院により1910年に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授与されるものです。
江刺名誉教授は、半導体微細加工と多様な機能要素を融合する「マイクロシステム(MEMS)」分野を我が国で切り拓いた先駆者であり、学術と産業の両面で発展を牽引してきました。
センサやアクチュエータ、構造体を集積するこの技術は、スマートフォンや自動車、医療機器など幅広い分野で不可欠な基盤となっており、医用マイクロセンサの研究に始まり、ISFETによる体内計測技術の実用化を実現、その後も圧力・加速度・角速度センサなど多様なデバイスを開発しました。
さらに、研究室内で半導体集積回路の設計・試作を可能にする環境を整備し、教育と研究の高度化にも大きく貢献しました。
1990年代以降は、微量流体制御システムやウェハレベルパッケージングといった革新的技術を創出し、MEMSの高機能化と量産化を推進したほか、自動車用センサや医療用デバイスとして広く社会実装を果たしました。加えて、ヘテロ集積化MEMSやナノ構造技術など先端領域にも展開し、次世代通信や計測技術の基盤を構築しています。
また東北大学西澤潤一記念研究センターの4/6インチウエハ用の施設を有効活用し、2010年から会社等の研究開発者が自ら装置を操作して開発を進める「試作コインランドリ」を提案しました。現在、利用は毎月1000件以上になっており、今までに企業を中心とする400程の機関が活用しています。
江刺名誉教授のこれら一連の業績は、MEMSの実用化・産業化の礎を築いたものとして、現代エレクトロニクスにおける重要なイノベーションの源流となっています。
●日本学士院「日本学士院賞授賞の決定について」R8.03.12
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2026/031201.html

企業との共同研究により製品化した例1
ピロリ菌ウレアターゼ測定器Helicotac(日本光電(株))
半導体イオンセンサ(ISFET)をカテーテルの先端に取り付け、胃液のPH水素イオン濃度(PH)の変化によりピロリ菌を測定する。
(西澤潤一記念研究センター 仙台MEMSショールームに展示、日本光電(株)提供)

企業との共同研究により製品化した例2
MEMS光スキャナECO SCAN(日本信号(株))
電磁力により2次元走査する光ミラーデバイス。
このデバイスを使用した3D距離画像センサ(アンフィニソレイユ)がホームドアに設置され、ホームドアと車両間の人や荷物(挟み込み)を検知することで、事故を未然に防ぐ事を可能にする。 (西澤潤一記念研究センター 仙台MEMSショールームに展示、日本信号(株)提供)

仙台MEMSショールームについて詳しくはこちら
https://www.mu-sic.tohoku.ac.jp/museum/index.php/2025/07/12/poster_jp_showroom/
